案外楽に一ヵ月半に達したような気がする。
もう禁煙パイポもしゃぶっていないし、フリスクも気休めのためにボリボリスースーを継続させる事も無くなった。
たとえば部屋で酒を傍(かたわ)らにギターを弾いて、一息つこうとした時はとても吸いたかった。
いったんは我慢するも、もう少しお酒を飲むと一本くらいなら・・・と、揺らぐのが常であった。でも手を出さなかったよ。ほんとに良かったと思う。
そこで吸っていたらその場限りの快楽と引き換えに、こんなに吸わなくても平気な今に至った、それを先延ばしにする行為だった。そこで我慢したからある楽ちんな今を、嬉しく思う。
それを思えば、耐え難い吸魔に襲われた時、一瞬の揺らぎで吸った一本が、今までの我慢を無駄にする行為と自分に言い聞かせれば、容易に我慢できると思う。
タバコを吸いたいのは、タバコを吸っていたあの時の気持ちを思い出すからである。
そのうち忘れるのを頭では分かっているのに、未練がましく別れた人と会ってはあの日々を思い出し、引きずるようなものか。