遅い夏休みをとってヴァカンスに出ていた。ちょうど台風もそれ暑くて最高だった。
楽しかった思い出を持ち帰り帰宅し、荷物をおろしていた。
すると、オレのマンションの室内の白い壁に、
それはついていた。
楽しかった夏の余韻は一気に吹き飛んだ。
ゴキげん充分、同棲中の黒い恋人であった。
夏が来るといつもワクワクするが、同時に
その出現にビクビクもする。蟲におびえる生活とはまさにこれだ。
夏における唯一の絶望感。
殺虫剤を食らった黒い恋人は、オレのベッドで細かくもがいていた。
この世で一番自分のベッドに入れたくないのは、君なのに。