オレはたまに見る怖い夢がある。
夢のタイトルは、
「
死体遺棄がくれた過去と、苦悩に満ちた僕」
という設定の、黒い夢である。
しかし今日の朝は、それとは異ジャンルの嫌~な夢を見てしまった。
夢のオレは大量のイナゴで埋め尽くされた海を歩いていた。
服を着たまま海に飛び込むと全身が濡れるように、靴の中、わきの下、パンツの中、イナゴでいっぱいだった。
こと靴の中にまで至った大量のイナゴは、僕の歩を進める足がイナゴを踏み潰すキネとなり、靴の中でイナゴ団子が出来上がっていた。
身体全体がイナゴに覆われ、助けを切望しながらイナゴの海を進むと家が見えてきた。
実家だった。
もはやイナゴはオハギを包む粒アンであり、実家で着替えをしたオレはやっと粒アンの取れた白米を取り戻したのだった。
実家で湯船につかり、白米に磨きをかけたオレだったが安心するのもつかの間、安心なはずのこの高台の実家に、大量の軍隊アリが押し寄せてきたのだ。
最近九州で起きた土砂災害の映像をニュースで見たからかな。まさにあの映像の土砂災害のごとく家を飲み込むアリが押し寄せてきたのだ。
その時のオレはなぜか妻子持ちの設定に変わっていて、妻子を守らんがために奔走していた。
実家の外壁の至る所、小さなアリが侵入してきそうなわずかの隙間を埋めるために、外壁の応急処置をしているのだ。
もう大量の軍隊アリは間近に迫っているのに、自分が飲み込まれる危険も顧(かえり)みずにだ。
ここで夢は上映終了のベル(目覚まし時計)によって、強制終了された。
この夢は何を僕に語り掛けているの?
何の暗示だ、海馬に眠る他我深層心理よ。
それとも前世の記憶をぶり返す因果応報に生きるオレへの、誰が警告なのか。