華奢な体にもかかわらず、ごついバイクに乗っている。排気量は大した事ないホンダフュージョンってのだが。
久々に転倒してしまった。
マンション近くの交差点を右折しようとした時だ。
「先に行きなよ!」
と譲ってくれた、前方から迫る車に一礼をしようとしたのがいけなかった。
減速して右折しようとするも、減速し過ぎてしまった。
ヨロヨロと交差点の真ん中でバイクごと、ゆっくりと転倒してしまったのだ。
しかもオレのバイクはデカくて重い!!
オレは非力なんだよ。普段使うはずもないパワーを使ってバイクを起こさざるを得なかったのだ。
ええ格好しいな自分なので、転倒したダサいその場からの速やかな脱却を最優先しなきゃ!と、自分に言い聞かせていた。
だから瞬時に使わざるを得なかったのだ。持ちうる全ての力を。
その時のオレの顔は歯を食いしばり般若のような、しかし逆さ眉毛で鬼気迫るも情けない形相だったはずだ。
踏ん張りすぎたから尻に手をあて、じっと手を見る。
もらしてはいなかったが修復費を思えば、働けど我が暮らし楽になるはずもなく、さらに貧窮す。
バイクを起こしてその場から立ち去るまで、オレの転倒バイクの前後に渋滞が出来ていたが、バイクを起こしてからホッとした後は何事もなかったように、平然な顔をして立ち去った。
愛バイクのウィンカーの壊れた破片が路上に飛び散っていた。
もちろん回収せず逃げるように、その場から立ち去ったが後悔している。