サンタクロースはいると思っているオレだ。
早くNASAかアメリカ空軍に捕獲されないかと思っている。
陰毛が生え始めた辺りに、その姿は幻と化したのが残念だが、今でも会えたら酒でも酌み交わしたいものだ。
サンタクロースがほんとは存在しなくても構わない。存在すると仮定して空想を膨らますのが好きなのだから、放っておいて欲しい。
今のオレなら何をサンタにねだるだろうか。
「新しいギターと機材をお願いします」
と紙に書いてルーズソックスに入れる事になるだろうが、
「焼酎一年分お願いします」
か、
「新品同様のブラックゼウス(ビックリマンシール)お願いします」
か、
「真鍋かをりお願いします」
も捨てがたい。
「いくつぐらいまでサンタを信じてました?」
と職場で聞かれた事がある。
「えっと・・・。僕の所は、妹がずっと信じていたので、彼女がサンタの正体を暴くまで信じてるフリをしてました」
と返した。
オレは結構早い段階に、お父サンタに気付いていた。夢の無い子供だったとつくづく思う。
どこかの家には本物のサンタクロースが来ているかもしれないが、ウチはどうせサンタモドキの、お父サンタだからな・・・と小さいながら既にあきらめていた。
しかしその事を妹にも両親にも気付かれたくなかった。
親に気付かれたら、もしかしたらプレゼントを貰えないんじゃないか、という腹黒い部分もあったが・・・
オレは昔から不眠症だ。
24日の深夜、親は子供部屋に眠るオレと妹が完全に寝ていると思っていたであろうが、オレは起きてたんだよ。薄目をしていたんだ。
結構酔っ払った親父。24日の深夜にプレゼントを部屋に置きに来る。足音が大きかったり、何かにつまづいて大きな音が立ったりすると、妹が起きてしまうんじゃないかとハラハラしていた。
そして翌日の朝は無事に、妹の喜ぶ声で起きるのだった。
質問の続きで、
「サンタクロースは高校生くらいまで、信じてませんでしたね。最近はまた信じてます」
と言うと、
「え?なんかあべこべですね(笑)」
「目撃情報があるんですよ。最近のカメラは高感度で、光速でソリをぶっ飛ばすサンタも捕らえられるらしいです」
「うそ~(笑)!」
「アメリカ空軍とカナダ空軍が共同で追跡してるんですよ」
「それは知らなかったです・・・」
さすがにちょっとコイツおかしいんじゃないか?と、質問者は瞳の奥でまばたいていた。
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嘘かほんとか、夢はある