生活費捻出のため、昼に海外旅行用通販グッズの会社で週5日、オレは労働を強いられている。
相当数の利用者がいるこの業界。
ある時、殺到する申し込みの電話の一本を取ったら、なんと大学1年生の時に親しくしていた女性からの、予約申し込みであった。
商品全ては宅配サービスなので、申し込みの時は、氏名や届け先、電話番号、そして旅行先などをお客様にお聞きするのだ。
お客様と称するその女性の個人情報を聞いていくうちに、
「ん~??まさか!?」
と思い始め、オレの鼓動がドンドン高鳴って行ったのだった。
最初は「あの子と同姓同名??」と思ったのだが、帰りによく送って行った彼女の住所(西東京市)に聞き覚えがあった事や、彼女のあの高めの声を聞くうちに、オレの記憶が蘇えっていった。もしや?は確信に変わった。
電話の向こうは、間違いなく菊子だった。(古風な仮名・・・)
彼女との付き合いは、今思えばなんだっただろう。
結局はありがちな、「付き合いましょう」とお互い交わして始まった恋愛などではなく、飲み会で知り合った日を境に暇な時に何度か会う仲、みたいな感じだ。
恋愛などとは言わないか・・・
結局そういう希薄な仲というものは、終わり際もさらりとしている。
ある日菊子からオレの携帯電話に、留守電が入っていた。
「箱根にこれから行って来ます」
それが最後だった。それ以降彼女とは連絡が取れなくなった。
箱根で他男性との出会いでもあったのだろうか?いや、箱根で関係の終焉を考えた末での結果だったのかな。
そして彼女の事もオレの記憶の中で化石となっていた数年後に掛かってきた、この彼女からの旅行用品申し込みの電話。
なんか笑ってしまうような、切なくなるような、何とも揺さぶられるこの感情・・・
今電話で話している菊子にとってオレは、ただの申し込み窓口のオペレーターに過ぎないし、それを菊子が知る由も無い・・・
あの日、アナタがまだ学生の時に、手を引き部屋に連れ込んだ男と、今電話口で話しているなんて、アナタは夢にも思っていないだろうね。
そして電話受付けの応対も終盤に差し掛かる。
受付けの決まりで、最後に旅行先を聞くことになっているのだ。
オペレーターのオレは菊子に言う。
「ところでお客様、ご旅行先はどちらになりますでしょうか?」
「はい。イタリアです」
「ふーんイタリアねえ。・・・また箱根に行くんじゃないのか?」
と、急にオレが豹変して言ったら、電話の向こうの人間が誰なのか、菊子は気付いただろうか。
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