兼田のそんな状況にいてもたってもいられず、奥さんにどこで彼と会えるのか聞くと、いまは恵庭(奥さんの実家?)に居ます。納骨はまだで夫はうちにおりますとの事だった。
ではスケジュール調整をして近々伺いたい旨伝えると、住所をすぐに返信してもらえたのである。
わくわくしない心持ちで北海道へと向かうのは、初めてである。でも、待てよ、と思った。まだこの目で確認したわけではないが、兼田はもういない。どう考えても状況は一緒だ。
現実的な話しだがせっかくの北海道、結構な旅費を掛けていくのなら観光も兼ねた方が、やつもオレが伺うに気が楽なのではと思ったのだ。来週3/3に伺える了承を得たのである。
日程はこう考えていた。
3/2(月)新幹線で大宮から函館へ
一度やってみたかったのだ。函館まで陸路、新幹線である。せっかく開通したのだ。
実は恵庭は空港のある千歳から近く、アクセスがいい。にも関わらずの新幹線、一泊で函館見物、翌日は特急スーパー北斗で4時間弱を掛け恵庭へ向かおうかなと。海沿いを走る、眺めのいいルートだと思う。
3/3(火)兼田に会う、そして苫小牧港へ
奥さんには聞きたいこと&話したい事は山ほどあるのだが、親友と称するほぼ初対面の男が家に上がっての長居は考え物と諭され、小一時間で退散、苫小牧港へ向かい夜のフェリーに乗り込み八戸へ向かう。
3/4(水)朝八戸港着、親に迎えに来てもらい実家へ
~3/6(金)まで滞在、埼玉の自宅へ戻る
こんな日程を考えていた。ちょっとわくわく感も取り戻しつつあったのだが・・・これにて中止を余儀なくされたのである。
北海道知事 道民に「緊急事態宣言」 外出控えるよう呼びかけ決断したのは緊急事態宣言が出される以前の一昨日であるが、奥さんからのメールで、こちらでは新コロナウイルスが流行っていて子ども達の学校も閉鎖になりました、湊さんも気を付けて、もし不安でしたらいつでも日程を変更して下さいとの事だった。
こんな大変な時に、しかもこちらが何らかの菌を子供のいる家に持ち込んでしまうやも知れず、事態が収束してからにさせて頂く旨、伝えたのである。お気遣いありがとうございますと返答されたのだ。
実家に来週帰ると母親には伝えていたのだが、こんな時期に北海道へ行くなんて心配していたけど、安心した、兼田君にはあなたの思いは伝わったのだから、とりあえず今回は良かったんだよと言われたのである。