中学時のテニス部、レギュラーに選ばれないとレギュラー以外は練習が出来ず、毎日タマ拾いをする事となり、そこから這い出せない、悔しさからレギュラーになるべくもっと頑張りたい、それが出来ない部活のあり方はおかしいのではないかと、以前記したのだが。
試合の組まれない非レギュラーが、限りあるコートで練習をしてくれるな無意味なんだから、という事である。部に所属しているも、そこにオレの存在理由は無かった。
それでもサボると顧問に怒られ、来いという。部活は当時強制だったからそれは仕方の無い事だった。
しかし、そんな非レギュラーでも唯一コートで練習できる日があるのだ。レギュラーが遠征に行っている時である。決まって土曜の午後だったと思う。
レギュラー以外はとくに誰とペアとは決まっていないのだが、何となくの流れで、いつもオレの前衛はまったくテニスなど不向きな、デブのマキタ君なのだった。ペアを組んでいるのが恥ずかしかった。
クラス内ヒエラルキーで自分は下級生徒と認識していても、プライドがあるのだ。あんなデブとは一緒にされたくない。
下級の中で上位、下の上なのだオレはと自分に言い聞かせ、毎日耐えていたのかもしれない。
年貢を徴収する農民の下にエタヒニンをおいて、あれよりはマシと思わせたように、オレの中でデブのマキタは非人だった。
でもそんな風に心の中でマキタの位置付けをしてしまう自分もイヤで、一人でいる方を選択したかったのだ。
そしてオレは、部活に行かなくなった。
中学で部活をサボるのは大罪だったが、毎日の屈辱や、マキタに対するそんな残酷な認定をする自分に、ついに耐えられなくなってしまったからだ。