毎週水曜日は、生協が食料品等をうちまで運んでくれるのだが、毎回渡される膨大なカタログから、希望商品を取り合えずピックアップするのにピンポイントカッター、『キリヌーク』が重宝している。
普通のカッターだと下の用紙まで切れてしまうが、これは切り抜きたい部分だけが切れ、下の紙は無傷。
昔印刷屋に居た頃、シールの「抜き」というのもやっていた。
めくるとシールになっている白い台紙に絵柄を印刷、スロットの某部位に貼る絵だったと思う。
同じ絵柄が均等に10個とか並んでいるのだが、それを一枚一枚めくれる様に、切り込みを入れるのだ。
でかい、ロシアで乗った大砲のようなプレス機の台座に座って「抜き」の操作をするのである。
一枚一枚、印刷後の抜かれていないシールをプレス機の下に入れ、「がっちゃんこ!がっちゃんこ!」
プレス機の刃の圧の調整が難しく、強すぎるとシールを貫通してしまう。弱すぎると切り込みの深さが甘くなり、抜けない。要するにめくれない。もしくは、余計な部分までくっついてめくれてくる。
シールと、それが貼り付いている粘着忌避台紙間の断面といったら、一ミリも無いのに、それを台紙に到達して貫通しないようにシールを抜くのである。
キリヌークも同じように、圧の調整とかなぞる手の角度によって下の紙が切れてしまうので、少々コツがいった。そんな印刷屋時代の経験を思い出した。
当時印刷屋の工場長によく注意されたものだ。プレス機の下に指を入れてボタンを押すなよ、指が潰れちゃうから♪と・・・。
こういう機械でプレスして・・・。
このような、抜き状態のシールにするのである。
ちなみにロシアに一緒に行くほどの仲であるキョータロー氏とは、この印刷屋勤務の時に知り合ったのである。
当時オレは赤毛であり、ここしか仕事が決まらなかった。バンドマンが沢山いる職場で楽しかったが、仕事はくそつまらなかった。達成感がないのだ。
何万枚とかを印刷するのだが、いついつまでにどれくらい、とかはアバウトで、流れ作業で、右から左へ移動する印刷物を見送る・・・始業5分で眠くなる!
刷り上がった印刷物の山を眺めたら、せめてもの達成感を得ただろう。しかし曖昧納期だと、終業時間まで同じ作業で、次々に箱詰めされて出荷されていく。
印刷物は金太郎飴だから、それも達成感の無さに拍車を掛けた。
オルファ(OLFA) 一枚切カッター キリヌーク 209B