未来人がタイムマシンでやって来て過去を変える、というのは、そこで変えられたワールドが形成され、分岐するという事だ。パラレルワールドである。
要するに、未来人がオレを殺したとして、オレの居なくなった新ワールドが形成されて分岐し、オレが生き続けている元々の世界と、オレが殺された後の世界が、平行して存在するようになる、という考え方である。
ドラえもんの道具の一つで、『独裁スイッチ』というのがあるのだが、独裁者が政敵を粛清するように、自分にとって邪魔な人物を消してしまえるスイッチである。
さっそくのび太がジャイアンを消すのだが、確認のためジャイアンの自宅へ行ってみるとお母さんが出て、「タケシ?そんな子はうちにいないよ」と言われる。
元々、ジャイアン(タケシ)の存在しない世界が、そのスイッチで分岐したのである。
親殺しのパラドックスというのがあるのだが、タイムマシンで過去へ行き、自分が生まれる前の両親を殺害した場合、どうなるのか。というやつだ。
三つの考え方があり、①矛盾しない②矛盾が生じる③パラレルワールドで矛盾を回避できる、があるようだ。
①矛盾しない なんらかの作用が働いて、どうやっても両親殺害には至れない。
タイムマシンという映画があって、恋人を殺害された科学者がタイムマシンで過去へ遡り、恋人の殺害現場であるスケート場へ近づかないように街へ出るのだが、結局は同じ時間帯に交通事故で恋人は死んでしまうのだ。
科学者はそれを見て、「100回遡ったら100通りの死に方があるのか!?」と悟る。結局、運命は変えられない。
②矛盾が生じる 両親は自分を生む前に死亡する。よって自分も消滅する。となれば自分が過去へ遡ることもなくなり、両親が死ぬこともない。矛盾する。
③パラレルワールド 両親が死んで自分が生まれない世界が、自分が生まれてやってきた未来世界から分岐する。元々自分や両親がいない世界が構築されるのである。両親が無事だった過去(そもそも時間移動すらされなかった世界)には何の影響もない。矛盾ではない。
親殺しのパラドックスも、死後の世界も、パラレルワールドで解決できるのか。矛盾を解消させるために妄想する、強引な概念ともいえるが。
どちらも当事者には見る事ができない。元々の世界とパラレルワールドとの両方で意識を共有してはいない。
元々の世界に意識が及ばない。それが現世での『死』だろうか。
死後、『オレ』という認識で移行できる、同時間軸に存在する死後の世界という名のパラレルワールドは、果たしてあるか。
もしかするとドッペルゲンガーも、普段は平行していないワールドが、何らかの不具合で重なった時に見える自分なのかもしれない。
死後の世界も現世も、パラレルワールドで互いは見えないが、近い所で色々を共有している?
幽霊との遭遇は、そんな同時間軸に存在する平行世界が、なにかの弾みにクロスオーバーした時の現象なのかもしれない。
その弾みが何なのかが、分からないんだよな~。震災時のPTSDとか、故人への強い思いとか、火事場の馬鹿力のような潜在能力なのかな。