前回の続きだが、高校の頃の学園祭の打ち上げが浪岡宅であり、そのシーンもビデオ映像で残っている。
この日の夜だよ。
しかしそこにオレは登場しないのだ。
なぜならこっちの事で、完全にすっぽかしてしまったからだ→
高校の時のミカさん“こっちの事”を簡単に書くと、高校の時の学園祭のクラス打ち上げが八戸の八太郎(港内)であった。それは、当時思いを寄せていたミカさんとお近づきになれた、嬉しい夜になった。
バンドメンバーとの打ち上げは、クラスの打ち上げを早めに切り上げての途中参加を約束していたから、固定カメラの前でメンバーが延々とオレの登場を待つというシーンである。
携帯などなかった当時、三十分おきくらいにオレの自宅に電話を掛けるため、画面から誰かが抜け、そしてカメラの前に戻るたびに、
「あいつまだ帰ってきてないって~」
とか、きっと夜遊びばかりで呆れていた当時のお袋に、ぞんざいに返答されたのだろう、
「オレもう掛けたぐね~じゃ~、あいつんちのかっちゃ、恐え~わ~」
などと嘆くシーンだ。
そしてしびれはピークに達し、しまいにはカメラの前でメンバーはしりとりを始めたり、当時流行っていたマジカルバナナが始まったりという展開になる。
「マモルといえば、ぷんぷくり~ん」「ぷんぷくりんといえば~」(ビデオで実際にあり)みたいなやりとりをリズムに合わせて順番に言っていくあれだ。
「ゲームといえば暑い昼」
など、なかなか文学的な返しもあったりで面白い。
誰かがつかえるとそこで笑いは起きるものの、その後しばし沈黙が・・・そしてカメラに向かって、
「早ぐ帰って来いじゃ~」
「おせぇ~じゃ~!」
などの再連呼が起きる。
「そろそろまた電話掛けに行ってみるか」
「次はお前な~」
「ええ~やだじゃ~、あいつのママ恐い」
「は~、じゃあジャンケンだな・・・」
こういうやり取りが延々と続くのだが、ついにオレは登場せず打ち上げは中止。そして画像は切れるのだ。
高校の頃の八太郎打ち上げの裏番組ではこういう展開になっていたなんて、オレはそのビデオを見るまで全く知らなかった。
しかしながらオレは翌日、なにごとも無かったように朝、登校中の電車内で浪岡に会ったのだ。
昨日のミカさんとのお近づきを果たせた事で、少し高揚していたかもしれない。
「よお(笑)!」
と彼に言うと、浪岡は無言で近づいてきたのだ。そしてオレのむなぐらを掴み、
「なにがようだ!コラ!」
とブチ切れたのである。昨日からの高揚は一気に粉砕され、オレは彼に、ごめんごめんと謝るしかなかった。
後にも先にも浪岡がキレた所を見たのはこれだけである。あとはずっと仲が良い。
あの男も感情をあらわにする事があるのを知っているのは、オレくらいだろう。感情をあまり出さないから、本当にオレの事を親友だと思ってくれているのか不安になる時もあるが・・・(笑)
ちなみに上京したての頃に一人、このビデオを見た時はなんかダブって見えた。
オレの名前を連呼し、「はやく帰って来いじゃ~」と皆が言っているのだから。
親には内緒の高校時代の貴重映像 1