当ペットショップではこちらの愛玩犬が人気です。とてもはやってます。飼うには無難な愛玩品です。
ペットショップは犬や猫にとって、スポットライトの当たるいわば花形の場だ。
人間の厳しい品定めが光る選定の場、ペットショップ。
人間からの選定待ちの、塀の中の犬猫に告ぐ。
君たちは愛玩犬や愛玩猫である。人間が「愛玩」という称号を与えてやったのだ。ありがたく思うべきだ。
「愛玩」という人間様の位置づけを冠していなければ、君たちは食料としてでしか、ここに展示されはしないのだ。
牛はでかすぎるから住宅事情あって飼えないしぃ~。ブタはにおいがやばそうだし~。鳥は朝とか鳴くから、超ウザそうじゃね?まじ寝てるとき、KYじゃね?
ペットショップでの愛玩品定めで、展示された彼らの生きる定めは人間により下される。
人間の嗜好はさらに貪欲だった。
「フェレット飼いたいんすけど。フェレットないの?」
「あいにくフェレットは今後入荷予定もございません・・・」
「フェレットは体臭がひどいらしいけど、見た目は可愛いし人間の愛玩候補になりうるのに、惜(お)しいですよね!」
そんな意見は数年前の話しだったという。
今は、においが人間に迷惑を掛けないように改良が重ねられ、出荷できるまでになったようだ。
どんな改良を重ねたのだろう。
人間の科学は、人間の哀願を叶える愛玩の提供を沢山可能にした。素晴らしい人間の科学だ。人間万歳。
人間の哀願で愛玩とされた彼等は今日も必死だ。
人間の支配する地球に共存しなくてはいけない。日本の社会では、人間に見放されたら施設に送られ、殺処分の運命だ。それを分かっているのだ。
「僕を可愛がってくれる人に早く買われたいなあ。じゃないと、他のみんなと同様に処分されるんだもの」
ショーウィンドーからの鳴き声を訳すと、そう言っているのかもしれない。
「まあ大丈夫だろう。僕は血統書つきのエリート愛玩品だぞ!」
人間の作った血統書というランク付けに酔う犬猫はいないだろうけど。
愛くるしい笑顔で、今日もアピール!アピール!僕だって生まれたからには生きたいんだ。