「捨てて餓死させる方がかわいそうなんだよ。目の開かないうちに馬淵川に流す方がいいの」
小学校の時、飼育委員会に所属していた。副委員長という、責任の重い任務を任されていたが楽しかったので、 根っからの動物好きだ。そんなオレにとって衝撃の発言だった。後述する。
因みに委員長は相方のROUTE・B・浪岡だった・・・。
今まで実家では、色々な動物を飼った。
今の実家に家族で引っ越す前に、青森県五戸町浅水の山中に住んでいたから、色々飼えて嬉しかったな。
インコ、甲虫、熱帯魚、亀、ニワトリ、一時期はタヌキも飼っていた。
タヌキは家の近くに居た、野生のケガしたタヌキで、親父が拾ってきたのかな?しかし野生のタヌキはあまりにも臭く、家族の口撃を受けた親父は、タヌキのケガの回復を待たずに、こっそり山に返していた。
動物の中でもオレはニャンコが好きだ。
実家で10年くらいニャンコを飼っている。
高校3年の春、当時一緒にバンドを組んでいた女性、ミオコから貰い受けた猫だ。名は「
清春」
同時に生まれた彼の妹は、「人時(ヒトキ)」と名付けられたらしい。まさに黒夢世代を生きるネコタチ(笑)
清春と人時の他に3匹の兄弟が生まれたらしいが、その3匹は地元を流れる
マベチ川に放流されたという。
いわゆる
間引きである。
「マベチ川じゃなくこれじゃ、マビキ川だな・・・」
と、当時彼女に口撃したが、すぐに反論にあった。
「5匹も飼える訳ないじゃん。捨てて餓死させる方がかわいそうなんだよ。目の開かないうちに馬淵川に流す方がいいの」
そう言われればそういう気もしたから、それ以上は何も彼女に言わなかった。
その生まれた5匹の中から、清春と人時が選別された理由はミオコ曰く、
"見た目”
であった。
ルックスのイケてる、イケてないが、彼ら兄弟の生死を分けたのだった。
ミオコの美ネコ感覚をもってしての主観オンリーだったというのは、とてもシビアな話しだが。
人間の世界もネコの世界もルックスがいいのは、やはり特なのか・・・
それを考えると、神様がルックスの良い悪いを決定付け、この世に生物を創造しているわけではないんだと思った。
第三者が勝手な美的感覚で人間を含む全ての生物を美人、不美人と区切る、それこそが神の所業だと思うが、それを平然と行使するのは人間なのだ。
所詮人間の分際でしかないのに、その行使は正当か否か判断に困るものだが、ミオコの下した判断は仕方のない事だったか。
生まれてすぐ川に流された、清春人時よりもちょっと劣る容姿で生まれた兄弟達。
馬淵川から八戸港に出て太平洋を渡り、今もハワイやグアムやサイパンなどで幸せに暮らしていることを、願わずにはいられない。
あいつら今頃何してるかにゃあ・・・