昨日、HUSH師の振り替えレッスンが14時に終わり、バイクを所沢からぶっ飛ばしていた。
いつもならわりと安全運転なオレだが、この日は急いでいた。待ち合わせに遅れそうだったのだ。
一旦家に戻ってオシャレもしなきゃ、と思っていた。
オレのオシャレは、メタルカスタムである。今日はちょっとヴィジュアル系ぽくいこうかな。
そんな事を考えつつ渋滞の車列を右から追い越すと、「プアーン」とサイレンが鳴った。それは大ゴトのように迫ってきたのだ。
白バイだ。まさかオレじゃないだろうな。クッソーオレっぽいな。バイクを路肩に停めたオレだった。
白バイの青二才はオレの隣にピタリと寄り添い、
「追い越し禁止車線はみ出てたよ」
と言う。
「マジで!?」
「後ろから見えたよ!」
「ウソ?そんな遠くからよく見えるね、ホントにはみ出てた?」
「はっきり見えたよ」
ラチがあかない。しつこい野郎だ。
はみ出たかもだけど、オレがはみ出てないって言ったら、はみ出てないんだよ。信じろよ。何メートルか先から、はっきりはみ出たか否かが確認出来るわけないじゃないか。
でもオレももう面倒だし、待ち合わせ時間に遅れそうだし、すんなり白バイに切符を切らす事を許可。
「罰金は7000円になるよ」
なけなしの薄給から引かれるオレの税金で食わせてやっているのに、随分横柄な態度だな。しかもさらにカネをむしり取るっていうのか・・・
オレは究極にムカつくと、ダンマリを決め込むクセがある。
白バイ男は、免許証を見ながら、オレにコミュニケーションを取って来た。
「最近私、このエリアに配属されました。ここら辺って渋滞が多いんですか?」
「・・・」
「へー、本籍は青森ですか、いい所ですよね、青森」
「・・・」
ちょっと嬉しいが無視。
どうせ青森県警に配属が決まったら、超イヤなんじゃないのか?青森にはTVもラジオもねぇぞ。
やい、白バイ野郎、ちょっとでも考えた事があるか。
お前の乗っているその、オレのフュージョンよりも高そうなバイクや、そのダサイ制服も全て、国民の血税と罰則金で“買ってあげてる”っていう事実を。
違反者はお客様だぞ。
お前の給料だって、オレの薄給から天引きされる、高すぎる税金から出てるんだぞ。
それをちょっとでも、胸にしまっておいて欲しい。でも全く考えた事はないよな?
切符を切られながら、オレはムカつきを通り越して、悲しくなってきた。
別に7000円が惜しいんじゃないんだ。
絶望感から泣きたくなった。