【人間とはなんだ!?】
というTV番組をやっていて、こういうの大好きだから見ていた。
チベットの仏教かなにか宗教の事に触れていて、現地の信仰心の厚い人が巡礼先でこんな事を言っていたのだ。
「私はこのお祈りを欠かした事はありません。なぜなら来世も人間に生まれ変われるお祈りなのです」
「・・・」
人間至上主義?自分が人間である事の他生物への優越感から来ているのだろうか。他生物よりも人間の方が幸せだと思っている。狭い。
SF作家、「星新一」の小説を思い出す。
地球に宇宙人が侵略の目的でやって来たという設定だった。
宇宙人が最初に会った地球上の生物は、猫。
宇宙人は、
「この星を支配しているのはどんな種族か」
猫は毅然と答える。
「オレたち猫だ」
宇宙人は地球侵略の事前調査を元に、
「この星を支配しているのは『ニンゲン』という種族だと聞いていたが」
猫は薄ら笑いを浮かべ、
「ニンゲン?奴等はオレたち猫の奴隷だよ。良く働いてくれて助かっているよ。奴等はオレたちの為にイヤな顔一つせず決まった時間に食事を持ってくるし、排泄物も掃除する。ホント、ニンゲンがこの地球でオレたちの為に働いてくれるのには助かっている。お陰でオレ達猫は、この星で有意義に過ごせている」
【人間とはなんだ!?】
のTV番組で、転生後も「人間になりたい」と言い放った、あの自分大好きチベット人はナルシストの鏡だなあ。
勝手な人間の思い込みで優越感に浸っちゃって。ああいう狭い視野のナルシストはイヤだな。
他生物は他生物なりに、自分の種が一番幸せだと思っていると星新一筆頭にオレも思う。
海の中で暮らせない人間をかわいそうだと同情する、美しいサンゴに囲まれ生活する魚もいるかもしれない。夏の入道雲や暁の夕日を手に取るように、大空を飛んでみたい。それが出来ない人間に優越感を感じる鳥もいるのでは。
土中で一生の大半を過ごすセミに人間の感覚で同情する人もいる。
「セミは数週間しか日の当たる地上で過ごせない。かわいそう・・・」
セミは地中のほうが心地いいのではないか。紫外線や光化学スモッグの空が嫌いかもしれないよセミは。
日の光を浴びるメジャーバンドが、アンダーグラウンドなヘヴィメタルを哀れむ感覚と似ているだろうか。
一生アンダーグラウンド(地中)はイヤだけど、一生の内地上に出るのがたった数日でもオレは幸せだ。その一瞬の幸せを掴みたい。
しかし、輪廻転生ってホントにあるのかなあ。
少子化が問題視されるこの日本。死後の世界から現世に転生したくとも競争率が激しくて、蘇る為のパスポート審査が厳しくなっているかもしれない。
であれば現世に魂を送り込まれた自分、生まれ変わりを許可してくれた死後世界の審査員に感謝しつつ沢山“今”を謳歌しなくてはだ。
輪廻転生・・・
難しい仏教用語だが要は魂のリサイクルではないか?
死後の世界にそのようなリサイクル運動、この世に再度戻れるシステムがあるのなら、少子化の現在、生まれ変わり競争率が激しくなるは必至か。
あの世では転生への抽選があって、もしそれにハズレたら皆人口の多い国に生まれ変わるのを余儀なくされたりして。
あの世で、転生抽選会場でハズレを引いた魂くん。
「くっそ~また中国人に生まれ変わるのか」
みたいな。
因みにオレは生まれ変わるならイカとかアワビがいいな。
あ、毛ガニがいいかな。海中でも寒くなさそうだし。
食べて美味しい毛ガニに生まれ変われたら、たとえ自分がうっかり人間様に捕まってしまってもあきらめが付くと思う。
捕まって観念し、これから茹でられ五臓六腑を人間にムシャムシャ食われる時に、カニのオレは思うだろう。
「オレは美味しいぞ、ニンゲン。だから残さず食べてね」
最後の最後までナルシストでいられるような気がする。
消化されウンコになるのはブルーだが。
ナルシストな心というのは、決して他生物に向けられるものではないと思うのだ。