実家からの今年最後の野菜が届いた事は、先に述べたのだが。
さつま芋も父親は作っているのである。これを部屋の石油ストーブにアルミで包んで乗せて・・・
部屋が甘く香ばしい匂いに包まれたのだ。アルミを剥くと・・・すげー!皮から蜜みたいなのが浮いている。
ナイフでオープン!もわーっと湯気と共にさらなる甘い香りが鼻腔をくすぐる。
この焦げ目がなんともたまらん。
酒屋のトップで初めて買ってみた芋焼酎で、親子飲みってやつ(笑)
バターを乗せると甘じょっぱくなり至高の極みへ。
そんなにさつま芋は好んで食べなかったのだが、この父親作のは一味違った。スイートポテトのようで、もはやお菓子。やはり栄養価が全く違うのだ、大量生産のそれとは。
小さい頃、この時期に実家の団地にやって来る石焼芋が楽しみだった。圧力鍋が沸点に達した時に鳴り響く笛みたいな音が近づいてくると、興奮した。
妹と一緒に、母親から受け取った500円玉を握り締め、石焼芋の軽トラックを追いかけるのだ。
軽トラックには轟々と薪で炊かれたドラム缶に切り口を入れたような焼き機が乗っていて、その上に黒い石が敷き詰められていて、顔が熱かった。
軽トラックの幌の天井からぶら下がった計量器で、ぶっきらぼうで顔が炭で黒くなったおっさんが500円分の芋を置いて計り、それをデーリー東北の新聞紙に包んで渡してくれるのだ。熱い芋が寒い手にありがたかった。
お菓子禁止令の出ていた実家だったから、甘い物はこの焼き芋くらいで、本当に食べたかった。戦時中かよ(笑)!
母親もおそらく焼き芋が食べたいから、渋々を装っていただけだろう。
そして新聞紙に包まれた焼き芋を母親に渡すと決まって、「これっぽっち?けちねえ、高くなったわねえ」と言われるのである・・・