オレはキャンプが好きなアウトドアな男であるので、一昨日千葉の房総にあるキャンプ場へ行っていた。
少々キャンプには抵抗感を示していた彼女を同行させた。生まれてこの方、キャンプはおろか外で寝たことすら無いと言っていた。
彼女はキャンプ場に着いて絶句、そして絶望感に陥っていた。
「ウソでしょ、こんなところで寝るの!?」
「蛇が出そう」
「虫がいる」
「私は車で寝る」
「電気がない!夜はどうすんのさ」
「ううう、トイレが工事現場用だ・・・」
「車のキーを貸して。ワタシはホテルを探す」
「ホントは近くにホテルをとってるんでしょう、ねえ!?そう言って!」
潔癖症の彼女には刺激が強すぎたようだったが、訴えは無視してさっそくテントを設営。
すでにシーズンはずれのキャンプ場には誰もいなく、客はオレたちだけだった。せっかくだからもっと森の奥の方にテントを張ろうかなと言うと、
「それだけはやめて!管理棟の見えるところに立てて!お願いぅぅぅ・・・」
と必死の彼女。
さすがにかわいそうになってきたので訴えを了承。
火をおこしバーベキューをしながらビールをがぶ飲み。
「地震のあった新潟を見なさい。水不足になった事もあった。アナタは今ビールをおいしそうに飲んでいる。テントというプライベートスペースがここにはあるけど、被災地の体育館にはそんなものなかった。ここにはシャワールームもあるし自由に用を足せるトイレもある。贅沢言うもんじゃない」
と言うも、たいして気休めにはなっていない彼女だった。
しかし森を吹き抜ける風に髪の毛をなびかせ、ほろ酔いになってきた彼女は、
「意外に楽しいかも・・・」
とぽろり。
「ほらみなよ~!だから言った通りでしょ~!最後はそう言うだろうと予想はしてたよウシャシャシャシャシャシャシャ(笑)」
と、鬼の首をとってみた。
「ゼッテーコロス」
と言っていたが、彼女の瞳の奥には笑みがあふれていた。
千葉房総キャンプ 【2007/8/30】